消化器系の病気で起こる腰痛のまとめ
特に消化器系の病気の中には、腰痛と診られる症状があります。
腰とは関係ないところでの障害が原因で腰痛になるのには臓器周辺に発生した痛みが腰にまで響く放散痛や他の部位の痛みを別の部位の痛みと脳が勘違する関連痛とがあるためです。
内科的疾患は専門的な検査を受けなければ判断できないものがありますので、整体では改善しないです。下記の特徴に当てはまる場合は病院で検査を受けるようにしてください。
内蔵疾患による腰痛の特徴例
- 安静時に痛む。どの姿勢をとっても痛みが楽にならない
- 夜間、就寝中でも痛みで目が覚める
- 腰痛とは他に発熱、悪寒、吐き気・嘔吐、だるさ、腹痛、排尿や排便の異常といったものがある
- 1週間以上たっても痛みが全く軽くならない。もしくは徐々に痛みがひどくなる
- 食事を取ると痛みが発生したり強まったりする(空腹時や食後に痛みが酷くなるなど)
- 排便や排尿の障害が見られる(排尿時の痛みや血尿など)
腰痛を引き起こす内臓系の病気(消化器系)
胃潰瘍(いかいよう)・十二指腸潰瘍
ピロリ菌、非ステロイド性抗炎症薬、胃酸などによって、胃や十二指腸の粘膜が傷つけられ、粘膜や組織の一部がなくなる病気です。
【主な症状・特徴】
- 上腹部の持続的な痛み
- 背中から腰にかけての痛み(体の左側が傷みやすい)
- 胸焼け
- 食欲不振
- 膨満感
- 40~50歳代に多く、十二指腸潰瘍は30歳代以下に発症しやすい。男性の患者が多い(女性の2倍)
【主な原因】
- ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)という細菌に感染すると胃粘膜が弱り、胃壁が自分の胃酸によって傷つくことなどによって潰瘍ができると言われています。
胃がん
胃に発生する悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- 上腹部の痛みや違和感
- 消化不良、胸焼け
- 胃の不快感、食欲がない
- お腹の張り、胃もたれ、胸焼け、ゲップ、吐き気
- 黒い便が出る
- 体重の減少。貧血
【主な原因】
- 不規則な食生活、糖質のとりすぎ、食べ過ぎ、塩分や脂肪分の摂り過ぎ、米飯の食べ過ぎ
胃下垂(いかすい)
胃の下の部分が正常な位置よりも垂れ下がっている状態
【主な症状・特徴】
- 食後の胃もたれ、げっぷ、吐き気・嘔吐、食欲不振や肌荒れ
- 食後に下っ腹が膨らむ、お腹の張り
【主な原因】
- 糖質のとりすぎ
砂糖は筋肉を弛緩させる作用が強く、胃のぜん動力も弱くしてしまいます。胃のぜん動運動が弱くなると、消化する力が弱まります。▶︎消化に時間がかかってしまいます。特に食前に甘いものを食べたり、砂糖が入ったドリンクを飲んでしまうと、30分から1時間くらい(個人差があります)、胃が動かなくなります。そんな状態で食事をすると、内容物が胃液を吸収して重くなり、ぜん動で動かないため、胃が垂れ下がってしまうのです。
肝硬変(かんこうへん)
肝臓に炎症が起きた部分の細胞が壊れて硬くなっていき、肝臓の機能が低下した状態
【主な症状・特徴】
- お腹がふくらむ(腹水)
- 羽ばたき振戦:肝性脳症の症状のひとつで、鳥が羽ばたくように手が震える。
- 下半身の”むくみ”や”けいれん”
- 黄疸:白目が黄色くなる
- 掌の両側が赤くなる。
【主な原因】
- 肝臓の炎症(肝炎)が長期間続いて肝硬変へ進行するケースが多い。肝炎はC型肝炎ウイルスの感染や過度の飲酒などで起こると言われています。肝硬変の中でも、お酒を長期間継続して飲むことによって起こるのが、アルコール性肝硬変。肝硬変は、肝臓が小さくて硬くなるだけでなく、正常に働くことのできる細胞の数が減り、肝臓の機能が失われていきます。
肝臓がん
肝臓に発生する悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- お腹の右上の痛みやしこり
- 背中や腰の右側の痛み
- 黄疸
- 腹水
- 貧血
- 全身の倦怠感
- 微熱が続く
- 食欲不振・体重減少
【主な原因】
- 肝臓がんの原因の多くはウイルス感染。そのほとんどは、C型肝炎ウイルス(HCV)やB型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染から慢性肝炎を起こし、さらに肝硬変へと進み、肝臓がんが発生すると考えられています。
膵炎(すいえん)
膵臓から分泌される消化酵素によって膵臓自体が消化されて炎症を起こす病気
【主な症状・特徴】
- みぞおちから左わき腹にかけての急な激痛。左肩や左背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
(痛みは食事をすると強まり、絶食すると軽くなる。また前かがみになると和らぐ傾向がある)
【主な原因】
- アルコールや胆石が原因のものが全体の約2/3を占める。体調が悪い時のお酒や脂肪の多い食事のとりすぎがきっかけで起こる
膵臓(すいぞう)がん
膵臓にできる悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- みぞおちから左わき腹にかけての痛み
- 高齢者ほど多く発症する
【主な原因】
- 詳しい原因は不明。「飲酒・喫煙の習慣」、「肉(脂肪)をたくさん食べる」、「慢性膵炎、胆石症、糖尿病などの病気」が危険因子と考えられる
胆嚢炎(たんのうえん)
胆嚢が細菌に感染して炎症を起こした状態
【主な症状・特徴】
- 食事後の”みぞおち”から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- 38℃以上の高熱、寒気、吐き気、嘔吐
【主な原因】
- 主に胆嚢内に石(胆石)ができて細菌が増殖して起こる。石は「食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質」などが原因でできることが多い
胆石症(たんせきしょう)
胆のうや胆管内に石(胆石)ができる病気
【主な症状・特徴】
- 食事後の”みぞおち”から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- お腹の張り、発熱、吐き気、疲れやだるさ、眼や皮膚が黄色っぽくくすんだり濃い茶色の尿が出る(黄疸)、白い便など
【主な原因】
- 食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできる事が多い
大腸がん(結腸がん・直腸がん)
大腸に発生する悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- 血便が出る(肛門からの出血や、血が混じった赤黒い便など)。痔(ぢ)の症状とよく似ていて間違えやすい
- 高齢になるほど発症しやすく、特に60歳代から70歳代で多く発見される
【主な原因】
- 高たんぱく・高脂肪・高カロリーの食事が大きく影響すると考えられる。飲酒・喫煙、肥満、遺伝、ストレス、大腸の病気、乳がん、子宮がん、卵巣がんなども発症率を高める
まとめ
今回は消化器系の内臓疾患からくる腰痛についてまとめました。
内臓疾患からくる腰痛の特徴に当てはまる場合は病院での検査をおすすめします。