泌尿器・婦人系の病気で起こる腰痛のまとめ
特に泌尿器・婦人系の病気の中には、腰に痛みが出るものが症状にあります。
腰とは関係ないところでの障害が原因で腰痛になるのには臓器周辺に発生した痛みが腰にまで響く放散痛や他の部位の痛みを別の部位の痛みと脳が勘違する関連痛とがあるためです。
内科的疾患は専門的な検査を受けなければ判断できないものがありますので、整体では改善しないものがあります。
内蔵疾患による腰痛の特徴例
- 安静時に痛む。どの姿勢をとっても痛みが楽にならない
- 夜間、就寝中でも痛みで目が覚める
- 腰痛とは他に発熱、悪寒、吐き気・嘔吐、だるさ、腹痛、排尿や排便の異常といったものがある
- 1週間以上たっても痛みが全く軽くならない。もしくは徐々に痛みがひどくなる
- 食事を取ると痛みが発生したり強まったりする(空腹時や食後に痛みが酷くなるなど)
- 排便や排尿の障害が見られる(排尿時の痛みや血尿など)
- 月経(生理)に関連して痛みが強まる
腰痛を引き起こす内臓系の病気(泌尿器系)
尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石)
尿の通り道である尿路(腎杯(じんぱい)・腎盂(じんう)・尿管・膀胱・尿道)にできた結石
【主な症状・特徴】
- 背中からわき腹にかけて七転八倒するほどの激しい痛み
- 冷や汗、吐き気、嘔吐
- 尿の異常(血尿が出る、尿の回数が増える、排尿時の痛み、尿が出にくい、残尿感など)
- 男性の発症率が高い(女性の2~3倍)
【主な原因】
- 特に欧米化が進んでいる食習慣の影響で、生活習慣病に分類されている。特に食べ過ぎに注意する食べ物、飲み物として、プリン体を多く含んでいるものが上げられます。
- 尿のカルシウムの濃度が高まると石ができやすくなる(水分不足、尿路の病気や形の異常、)
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂内(腎臓内の尿のたまるところ)で細菌が繁殖し腎臓にまで炎症が及んだもの・炎症を起こした状態
【主な症状・特徴】
- 背中や腰の痛み
- おしっこの回数が増る(頻尿)、排尿痛や残尿感がある
- 悪寒を伴う発熱
【主な原因】
- 尿道の出口から侵入した細菌が尿の通り道をさかのぼり腎盂に達して病気を起こします。 細菌は排尿により体外へ排出され、免疫力により退治されるため簡単に腎盂腎炎は起こりません。しかし前立腺肥大症や尿管結石といった尿の流れが悪くなる病気や糖尿病のように免疫が低下する病気を合併してる場合や尿道カテーテルなど細菌が付着しやすいものが尿の通り道にあったりすると腎盂腎炎を繰り返すことがある。
腎周囲炎(じんしゅういえん)
腎臓やその周りの組織が細菌に感染し、炎症を起こして腫れ上がる病気
【主な症状・特徴】
- 発熱
- 腎臓付近(わき腹あたり)の強い痛み
【主な原因】
- 腎盂腎炎など、腎臓の細菌感染が見られる病気の影響。細菌で化膿した部位から膿が血液に混じって運ばれてくる場合もある
水腎症(すいじんしょう)
腎臓に尿がたまる病気
【主な症状・特徴】
- 背中やわき腹から腰
- 下っ腹にかけての痛み
【主な原因】
- 尿路の形の異常、結石、病気による尿路の炎症などが原因で、尿の流れが悪くなることで生じる。妊婦に発症することもある。
腎梗塞(じんこうそく)
腎臓の動脈がふさがって血液が流れなくなり、腎臓の一部または全部が壊死してしまう病気
【主な症状・特徴】
- 腰から背中にかけての痛み
- 血尿や尿の量の減少
【主な原因】
- 心臓病などにより作られた血栓が、血流にのって腎臓に運ばれて動脈が閉塞し、そこから先の腎組織が壊死(えし)に陥る病態をいう
腎静脈血栓症(じんじょうみゃくけっせんしょう)
腎臓の静脈に血の塊(血栓)ができて血液の流れが悪くなったり血管が詰まってしまう病気
【主な症状・特徴】
- 尿の異常(尿の量が少ない、血尿やたんぱく尿など)
- 腰や背中の痛み
- 発熱
【主な原因】
- 血液が固まりやすくなる「ネフローゼ症候群」、血液の病気、病気による血管の障害、動脈硬化の影響など
腎下垂(じんかすい)
腎臓が本来あるべき場所よりも下に移動してしまっている状態
【主な症状・特徴】
- 腰やわき腹の鈍い痛み(横になると和らぐ)
- 胃のむかつき
- 食欲不振
- 吐き気
- 尿の異常(血尿、たんぱく尿がでる、尿があまり出ない、出にくい)
【主な原因】
- 腎臓の位置が自然な動きの範囲を超えて、下まで移動してしまうものを腎下垂または遊走腎という。極端なケースでは骨盤の中まで腎臓が下がってしまうこともある。
- 腎下垂は特に右の腎臓だけに発症しやすい傾向があります。
- やせた女性に多く見られる
腰痛を引き起こす内臓系の病気(婦人系)
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
子宮の内側にできる膜「子宮内膜」が、妊娠しないと剥離し、月経となって体外へ排出されます。この子宮内膜が正規の子宮内腔になく、骨盤の腹膜や、卵巣などの中に入り込んでいる状態
【主な症状・特徴】
- とても強い月経痛(生理痛)
- 下腹部や腰が激しい痛み
- 頭痛や吐き気
- 貧血
- 30~40歳代の女性に多くみられ、不妊症の原因になることもある
【主な原因】
- 内蔵下垂による子宮への圧迫による子宮内の血行障害
- 詳しい原因はわかっていない
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)・子宮ポリープ
子宮内部にできる良性の腫瘍
【主な症状・特徴】
- 生理期間外の性器からの出血・不正出血
- 生理時の出血量が異常に多い
- 腰の痛み
【主な原因】
- 内蔵下垂による子宮への圧迫による子宮内の血行障害
- 詳しい原因は不明。
子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)
子宮にできる悪性腫瘍(がん)
【主な症状・特徴】
- 月経期間外の性器からの出血
- 貧血
- おりものの異常
- 子宮頸がんは20~30代の若い世代で増加しており、性交開始年齢が早い、性交相手が多い、多産の女性に多いと言われている
- 子宮体がんは50~60歳代の閉経後の女性で、特に未婚、未産、妊娠年齢の高い女性に多い
- 腰痛
【主な原因】
- 子宮頸がんはウイルス感染によるものが多く、性行為によって感染する。
- 子宮体がんは女性ホルモン「エストロゲン」が長期間分泌されると発症しやすい
腰痛を引き起こす内臓系の病気(婦人系:月経・生理関連)
女性の場合、「月経(生理)中」や、月経が終わる50歳前後の「更年期」は、女性ホルモンのバランスが大きく変化します。
その影響により、心とからだに様々な不快症状が現れます。腰痛もよく見られる症状の一つです。
月経痛(生理痛)・月経困難症・月経前症候群
月経時に起こる様々な不快症状
【主な症状・特徴】
- 頭痛、腹痛(胃痛)
- 腰痛
- 乳房の張りと痛み
- むくみ、冷え、めまい、のぼせ、貧血、吐き気、嘔吐、便秘、下痢
- イライラ、憂うつ、焦燥感、怒りっぽい、集中力の低下、情緒不安定
【主な原因】
- 月経(生理)が始まって女性ホルモンの分泌が盛んになったり、ホルモンバランスが変化するため。更に疲れやストレスによって心身に負担がかかると症状が悪化する
月経不順(生理不順)
月経に様々な異常が生じるもの
【主な症状・特徴】
- 「月経周期」や「月経の続く期間」が極端に短い、または長い
- 「月経時の性器からの出血」が極端に少ない、または多い
【主な原因】
- 体内の女性ホルモンのバランスが崩れることで起こる。月経が始まる時期(思春期)や終わる時期(更年期)
まとめ
今回は泌尿器系・婦人系の内臓疾患からくる腰痛についてまとめました。
内臓疾患からくる腰痛の特徴に当てはまる場合は病院での検査をおすすめします。